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膝蓋骨脱臼の治療と手術

膝蓋骨脱臼の治療と手術

小型犬では見られ、膝蓋骨(膝のお皿)が内側または外側に脱臼する病気です。
先天性の場合は生後3ヶ月ぐらいから大腿骨、脛骨に成長異常が見られ膝蓋骨が内方に脱臼していきます。
成長するにしたがって骨が変形し膝蓋骨の脱臼が慢性的になります。

発症
しやすい
犬種

●トイ犬種
 ・チワワ・トイプードル・ポメラニアン・ヨークシャーテリア・パピオン
●柴犬
●まれにネコで見られます。

症状とグレード分類

グレード1

膝蓋骨は正常の位置にあり押すと脱臼しますが容易に整復できます。ビッコもありません。

グレード2

膝蓋骨は不安定で容易に脱臼しますが整復可能です。スキップしたり患肢を挙上します。脱臼時に痛がることもあり徐々に足の筋肉が痩せてきます。多くがこのグレードで来院します。

グレード3

膝蓋骨は常時脱臼しており整復してもすぐに脱臼します。大腿骨や脛骨の変形がみられ足を挙上しお座りすると足先が外側を向いてしまいます。筋肉の萎縮も明らかです。

グレード4

膝蓋骨は常時脱臼しており整復できません。大腿骨や脛骨の変形も重度で足は伸びないためうずくまった姿勢で歩行します。
成長期に異常が見られた場合に見られ早期に手術が必要です。

治 療

膝蓋骨脱臼は自然に治ることはありません。一般的にはグレード2から手術対象となります。当院の手術基準は以下の様になります。無症状の場合は様子見る場合もあります。

1

5~8ヶ月齢でグレード2以上の症例

2

3歳未満のグレード2以上でビッコなどの症状が見られる場合

3

グレード3以上でビッコなどの症状が見られる場合

4

前十字靭帯断裂で膝蓋骨脱臼が併発している場合

手術法

グレードにより手術法は違います。ほとんどの症例が膝の溝が浅く(滑車溝低形成)、大腿骨と脛骨の変形があるためそれらを矯正します(脛骨粗面転位術)。手術法は以下の通りです。

滑車構造
溝術

滑車溝が浅い

軟骨を外して切削

軟骨を元に戻し滑車溝を深化

脛骨粗面
転位術

滑車溝が浅い脛骨粗面を分離

軟骨を外して切削分離した脛骨粗面をピンで仮固定

ピンとワイヤーで完全固定

外側支帯
縫縮術

吸収糸で外側支帯縫縮して膝蓋骨を安定化

術後経過

術後経過は個人差がありますがグレード2で平均20日から60日、グレード3で30日から60日、グレード4で40日から90日で歩行は正常に戻ります。
術後は必ずリハビリテーションが必要で関節可動域の改善と痩せた筋肉の回復を目指します。

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